2022.12.14
認知症の初期症状とは?チェックポイントや軽度認知障害(MCI)のサインなどを解説

目次
認知症を早期発見するメリット

認知症を早期発見するメリットとして、早い段階に正確な診断を受けて、適切な治療をはやく始められることが挙げられます。早期に治療を開始すれば、認知症の進行を遅らせ、症状の緩和も期待できます。また、症状が軽いうちにご家族や近しい人たちと認知症のことをよく話し、周囲の理解や協力体制を築いておくことも可能です。
認知症患者のご家族も、早い段階で認知症について学んでおくことで、介護サービスの利用や社会的な立ち回り、今後の生活などについてじっくり考える時間を持てます。
認知症の初期症状?チェックすべきポイント

一般的に認知症には、いくつかの初期症状が存在します。認知症の初期症状に関しては「公益社団法人認知症の人と家族の会」などのサポート団体によって、早期発見のための目安も公開されています。
ここでは、認知症に共通してみられる初期症状のチェックポイントを紹介します。ご自身や身近な方に認知症の疑いがあるようでしたら、参考にしてください。
もの忘れ
もの忘れには認知症の症状と単なる老化によるものがあり、認知症初期の段階では見分けがつきにくいものです。
もの忘れの見分け方としては、老化が原因の場合はもの忘れが増えたことを本人が自覚しており、日常生活に大きな影響はありません。対して認知症のもの忘れの場合は本人にもの忘れの自覚がなく、日常生活で起きたことの大部分を忘れてしまいます。
認知症の初期症状には、以下のようなもの忘れがみられます。
- 同じ質問や行動を繰り返す
- つい今まで電話していた相手の名前を忘れる
- 置き忘れやしまい忘れが増えて、探しものが大変になる
- 財布や通帳が見つからず、盗まれたのではないかと疑う
- 普段通る道で迷ってしまう
- 約束した時間や場所を忘れてしまう
認知症の代表的な初期症状として、もの忘れの増加があります。最初のうちはちょっとしたもの忘れが増える程度ですが、徐々に何度も歩いたことのある道がわからなくなったり、約束をまるごと忘れたりと、重大なもの忘れに発展していきます。
判断力・推理力
人間の認知機能における判断力や推理力は現在の自分の状況を把握し、日常のものごとへの理解につながっています。認知症による判断力・推理力の衰えは、社会生活を営むうえでさまざまな問題を引き起こします。
認知症の初期症状で判断力や推理力が低下すると、集中力がなくなり仕事でミスを頻発したり、時間や季節を認識できなくなったりすることが増えていきます。
認知症による判断力・推理力の低下からは、以下のような初期症状がみられます。
- 話のつじつまが合わない
- 新しいものごとが覚えられない
- 運転や計算のミスが増える
- テレビ番組の内容を理解できない
- 身だしなみを整えようとしない
- 好きだったことに興味を示さなくなる
認知症の症状が出始めると、最初のうちは日常の会話内容や服装や身だしなみなどの面で、判断力・推進力の低下が現れます。症状が進むにつれて運転や計算のミスなどの失敗が増えるようになり、さまざまなことに意欲がなくなっていきます。
精神面
認知症では脳内に変化が生じて、徐々に症状が進行します。その過程で食欲不振や意欲の低下といった抑うつ症状が現れます。認知症初期の抑うつ症状はうつ病の症状と似ているため判断が難しいこともありますが、認知症の抑うつや性格の変化は、本人にほとんど自覚がないという特徴があります。対してうつ病の場合は、仕事の定年や親しい人との死別など心理的に大きな出来事が起因している場合が多く、自分で自分を追い詰める傾向があります。
そのほかにも、認知症の初期症状にみられる精神面の変化には以下のような例があります。
- 些細なことですぐ怒るようになる
- 何事にも不安感が強くなる
- 周囲の人に気を使わなくなる
- 失敗を人のせいにすることが増える
- 自分は頭が変になったと主張する
- 最近様子がおかしいと周囲から言われる
認知症は発症した人の精神面にも影響を与えます。これまで温厚だった人が怒りっぽくなったり疑い深くなったりと、認知症の初期症状には精神の影響からくる性格の変化がみられることがあります。
認知症による性格の変化は、周囲からみてもわかるぐらい大きな変化になることもあります。
認知症の主な原因・種類・特徴について

認知症の主な種類にはアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症があります。このなかで最も多いのがアルツハイマー型の認知症で、脳にたまるタンパク質のアミロイドβが原因とされています。
アルツハイマー型の認知症に次いで多いのが、脳血管性認知症です。脳血管性認知症は、脳内出血や脳梗塞などの脳血管障害が原因で引き起こされます。
これら以外の認知症には、レビー小体とよばれるタンパク質が脳に溜まってひき起こるレビー小体型認知症や、原因は完全にわかっていないが初老期に発症しやすい前頭側頭型認知症などの種類があります。
気づきにくい軽度認知障害(MCI)の初期症状や前兆とは?

認知症のなかで最も症例の多いアルツハイマー型の認知症には、認知症と判定される一歩手前の段階が存在します。この段階は「MCI:(Mild Cognitive Impairment)」と呼ばれ、日本語では「軽度認知障害」と称されています。
MCIの代表的な症状として、記憶力の低下や注意力の減少など、認知機能における能力の低下があります。しかしながら、日常生活に大きな支障をきたすほどのものではありません。だからといってMCIを放置しておくと、その後アルツハイマー型の認知症に進行してしまう可能性が高くなります。MCIを放置せずに適切な対処と治療を施すことで、症状を緩和し認知症の発症を遅らせることも可能です。
MCIになる人の割合は65歳以上の高齢者が多く、中にはMCIであることに自分や周囲が気づいていないケースも多々あります。
軽度認知障害の発症を見逃さないためには、早期のうちにMCIのサインを発見しましょう。
厚生労働省ではアルツハイマー病によるMCIの臨床的定義として、軽度認知障害のサインを以下のように定めています。
- 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
- 本人または家族による物忘れの訴えがある
- 全般的な認知機能は正常範囲である
- 日常生活動作は自立している
- 認知症ではない
ここからは、日常生活のなかでみられる代表的なMCIのサインを紹介します。
1:外出時
外出に関するMCIのサインには、お出かけに消極的になる、外出時の身だしなみや服装を気にしなくなるなどの変化が見られます。これは脳の機能が衰えることにより、周囲の物事への興味や意欲が低下することに起因しています。
2:会話
MCIのサインは、日常的な会話のなかにも表れます。例として、最近のニュースやイベントについては憶えているけれど、正確な場所や日時については思い出せないことがあります。これは時間経過による記憶の低下で、このような症状が多く出るようならMCIのサインを疑ったほうがよいでしょう。
3:炊事
MCIのサインが現れやすいことに、日頃の炊事があります。食事の準備中に鍋を焦がしたり水道を流しっぱなしにしたりすることが多くなる、凝った料理が作れなくなるなどの症状が見られたら、MCIの兆候が疑われます。これらの症状は、認知機能のひとつである遂行能力の低下が原因であると考えられます。
4:仕事
MCIのサインとして記憶力や遂行力の低下が表れると、仕事への影響もみられます。新しい業務内容や機械の操作などを覚えない、同じ質問を繰り返してしまうなど、労働意欲や仕事能力の減退からはMCIのサインが疑われます。
認知症・軽度認知障害(MCI)を疑ったら早めに病院に行きましょう

認知症やMCIのサインが疑われたら早めに病院にいくべきです。しかし「精神神経科」や「認知症外来」といった単語に抵抗を感じてしまい、なかなか病院へいけない方も多いようです。
もしもかかりつけの医師がいるなら、通常の診療のついでに相談して専門医師を紹介してもらうとよいでしょう。また、保健所の窓口では認知症の相談を受け付けていることもあるので、自治体のサポートも気軽に利用してみましょう。
認知症が疑われても、身近な相手に指摘されると素直に聞き入れられないこともあります。そのようなときは、「ちょっと検査を受けてみよう」など軽めの言い回しが効果的です。また、離れて暮らす家族や仲の良い知人から、検査にいくよう促してもらう方法もあります。
例えMCIと診断されても、すぐに認知症が発症するとは限りません。早期に発見して適切に対処すれば、正常な状態を維持できる可能性もあります。だからこそ早い段階での診断が大切なのです。
まとめ
認知症やMCIが疑われるときは、早めに病院へ行きましょう。早期発見ができれば認知症の進行を遅らせたり、症状を抑えられる可能性もあります。
また、健康診断や人間ドックのメニューにMCIスクリーニングを追加することもおすすめです。MCIスクリーニングでは、採血のみで簡単に認知症の検査ができます。
現在、認知症には特効薬や完治する治療法が確立されておらず、誰にでも発症する可能性があります。また自宅での認知症の療養には、第三者の手を借りなければならない場面があるかもしれません。もしも介護が必要になったときには、家政婦マッチングサービスなどを利用して、本人や家族の負担を減らすことも検討しましょう。
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